観察する男

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 俺は、ほろ酔いで二本目の缶ビールの蓋を開けると、結婚式の雰囲気を思い出しながら、一枚一枚じっくりと写真を眺めていた。  ……どの俺も、写りは最高だ。  披露宴で、スピーチをする俺。  二次会で、司会を任される俺。  飲みすぎて、真っ赤な顔の俺。  千鳥足で帰る俺。  家の鍵を探す俺。  ベッドに横たわる俺。  朝起きた瞬間の俺。  テレビを見て笑う俺。  風呂から出てきたばかりの俺。  ……  …………  ………………  ──おかしくないか?      * * *  怒り顔の彼女に言った。 「ストーカーは、君だよね」  彼女の手には、カメラがある。    ―+―+―+―+―     『観察する男』        完    ―+―+―+―+―
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