序章

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俺の目の前の墨汁を除けると、妹がようやく重い口を開いた 「お兄ちゃん・・・今朝もなの?」 今朝も と言うのは母と父の奇行の事だろう。 もうこんな生活が一年近く続いている。外では何の変哲もない夫婦だし、こんな事を誰に相談出来る訳でもない。 俺達兄妹はただ耐え続けていた。 「あぁ、今朝もいつも通りだったよ。」 「そっか、いつまで続くんだろうね、こんな生活・・・」 まだ中学生の妹の心身を思うと、兄の俺がしっかりしなければ。と強く決意を固める 「あ、あとそれ墨汁だから飲まないでね」 「あぁ・・・」 外が明るくなってきた 今日も一日が始まる
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