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カズハ「…ふぅ」
ソツが手続きしてくれている最中、壁に寄り掛かり一葉は外でずっと考えていた。
これから先どうしようか…。
先程の村人同士で聞こえた僅な会話。
『ヤット…ハシンダノカ……』
『……コレデヨカッタンダ…ハ…ムラニハイラナカッタンダヨ……』
『マタ…ハンターニキテモラエバイイコトサ』
『……ソウダナ』
カズハ「…………」
雲ひとつない青空を見上げる。
“普通の、人の”暮らしにやり直せるのだろうか?
だとしたら“力”はもう要らずに……。
一葉は腕にある“有るもの”を見つめた。
「…………ナサーン」
その時、遠くで聞きなれた声が聞こえた。
一葉はその声を聞くと反射的に走っていた。
声はユクモ農場の中…かつて簡単に出入りしていた自分の農場から聞こえたが管理人に止められた。
カズハ「…入らせてくれないか?」
「ダメダメ、ここは悠さんの農場……死んだと思うけど許可が降りない限り入れないよ」
入り口から遠くを見つめる。
かすかだが武蔵とディンゴが見えた。
ソツ「あっ!こんなとこにいた!さ、手続き完了したから挨拶しに行くよ!」
カズハ「…………ああ、うん」
一葉はもう一度農場を振り返る。
視力が確かなら……彼らは橋の近くに座って叫んでいた。
目から大量の涙を流しながら…………。
カズハ「………ごめん」
一葉はソツにバレないように涙を拭いながら呟いた。
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