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……だが状況は一変した。
悠「あ……り?」
突如目の前が霞む。
立っている足に力が入らなくなる。
悠「な……んだ……?」
声が震える。
武器を持つ両手が痙攣する。
悠「ぐっ……!」
吐き気が起こる。
骨が軋む。
変な音が頭の中に響く。
悠はそこに倒れ込んで……。
悠「……ッ!」
否、踏ん張る。
長年のハンター経歴からだろう、精神力は並みではない。
すぐに五感を尖らし、何かを察する。
己の鍛え上げた反射神経で左へ転がると同時に右から衝撃を感じたー。
アマツマガツチの攻撃だった。
一瞬の隙が命取りとなるこの狩り場ではこのような隙を敵が見逃がす筈がない。
悠は様々な痛みに耐えながら回避し、不様に逃げ回る。
無惨にもアマツマガツチの攻撃は連続で振りかかった。
悠は敵の焦点さえも合わない。
悠「……クソ…」ハアハア
悠は必死で逃げていたが、遂に崖淵に追いやられた。
逃げ場はない…。
対するは神々しく浮かぶ嵐龍。
悠(こうなったら…もう一度準備を整えてから来るしか…)
右手に閃光玉、左にモドリ玉を持つ。
そして閃光玉を投げる。
相手が光で怯んでいる隙にモドリ玉で逃げる戦法だった…。
悠「なっ……!」
しかし投げた直後、嵐龍が祓うように腕を振ると、突如突風が吹き閃光玉が遥か上空に舞い上がり弾けたのだ。
目の前で急激に光を浴びせなければ、目を眩ませることなど出来ない。
…あり得なかった。
この行動は多くのハンターの挑戦から得た知識なのだろうが、モンスターがそれをどうにかすることはなかったはず……。
水ブレスー。
考える暇もなかった…。
体が動かないこともあるが、瞬時の攻撃に反応出来なかった。
悠の体は圧縮された水の大砲によって宙に舞った。
そのまま谷底へと落下する。
悠「…ごめんな、約束守れなくて」
まだ身体中が痛む中、悠は自分を待っている者達に呟いた。
悠が微かに見えたのは天に昇る嵐龍。
ハンターは霧の中に落下していき、消えたー。
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