第一章ー副作用ー

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ふと目が覚める。 空が広がり、太陽を中心に雲が並んでいる。 身体中がまだ痛い。 頭の中は真っ白だった。 数秒間、自分に何が起こったのかと思い返す。 あの後一体どうなったのか? 俺は死んだのか? もしかしてここは天国なのか? それとも地獄なのだろうか? ……。 一度に大量に考えると頭痛を起こし頭を抱え込んだ。 一度頭を冷やそうと近くの水面に顔を覗かせる。 しかし水に自分の姿は映らなかった。 代わりに水面上には女が映っていた……真っ裸で。 辺りを見渡すが自分以外誰も居ない。 …………。 …念のため手を動かしてみる。 水面の女も一緒に動く。 ユウ「なんで裸なんだーー!!」 いや、そこじゃない。 頭痛にも関わらず、落ち着いて記憶を振り絞り整理してみる。 俺は吹っ飛ばされた後、運良く滝がありその水の抵抗を受けたことと、幸いにも底が深い川に落ちたことと、防具の耐久力と以上の事により死には至らなかった。 とはいっても渓谷の川。 流れが早く、武器や道具、お金が流されてしまった。 それと何故か知らないが鎧とインナーのサイズが大きくなり、ブカブカとなったそれは同様に流された。 しかしそれが幸いとなって身軽になり、水上にでて息することは出来たが、川中にあった出っ張った岩に頭をぶつけた。 意識が朦朧とした最中、最後に見た景色は滝壺へと落ちる瞬間だった……。 …そこからはわからないが何とかこの場所へ流れ着いたのだろう。 こんな状態になってしまったのはおそらくあの丸薬のせいだろうな…。 あれ程の効果だ、副作用かもしれない。 ……えぇ…。 そりゃあどんな薬にも副作用はあるけど、女になるなんて非科学的だ。 いや、放射能で性ホルモンが変化するって聞いたことがあるし……。 …うーん。 ユウ「さて……どうしたものか」 とりあえず何か身体を覆う着るものが欲しいな…。 辺りを見渡すと、ちょうどケルビがニ匹のんびりと草を食べている。 ユウ「…ちょうどいいかな?」 そう判断し、武器を持たないハンターは素手(全裸)で狩りを始めた。
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