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少し寂しげな笑みを浮かべて、母が座るベンチに座った。母の座るベンチには反対側からしか人が座っておらず、あけておいてくれたようだ。もしかしたらヴィンセントの言う母の優しさはこんなところかもしれない。
「なぜおまえも座る」
自分のことを言われたのかと思ったジョージアナは固まった。
「いいじゃないか。だって僕の分も空けてあるんだし」
「そこが空いているだけだ」
自分が言われたわけではないようだ。ほっと胸をなで下ろすと、すぐに牧師の話は始まり、誰も話さなくなった。
説教の最中、なぜかヴィンセントはずっとジョージアナの手を握ったまま。
牧師の説教が終わって、皆が立ち上がる。
「夜なのに人が多いな」
「こんなご時世だからね。休戦中だけど、また戦争になったら今度こそ私も前線行きだろうな」
「その前に妾〔わたし〕が前線だ。……おまえ、いつまで娘の手を握っているんだ?」
呟かれた言葉に二人そろって驚く。
「可愛いレディの手は離さない主義なんだ」
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