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目の前でアーモンドのような形の瞳が興味津々にこちらを見つめている。「きゅらんっ」と音がたつのではないかと思うほどのきらめきだ。
じいいいいいいい……
「……」
じいいいいいいい……
「……」
「きみはだぁれ?」
ついに子供は口を開いた。しかし「じいいいいいいい……」という、視線は変わらない。
幼子特有のどこか間延びしたような話し方だ。いや、生来の気質か?
ババロアのように白くて柔らかそうな頬が、笑みの形を作る。
感情の乏しいレイヴンでも、その頬は触ってみたくなるものだった。
「私はただの従者です」
「?」
何が疑問だったのか、首を傾げる幼子に、レイヴンまで首を傾げてしまう。
「あねうえ様の、だんな様の」
「違います。……姉君は結婚されているのですか?」
この子どもの姉となればまだ若いのではないだろうか?
従者として生活することで、身についた一般常識のいくつかはこんなところで役に立った。
「んーん」
「?」
しかし今さっき姉君の旦那様と……。
レイヴンは混乱し始めてしまっていた。よく分からない。年若い姉には夫がすでにいて……、あれ?いなくて?
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