207人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの子はアリスラーナのフィオン殿下だよ。あの子には噂があってね、人の居場所を突き止めたり、名乗っていないのに名前を当てたり、ね」
名前を当てられたから主は笑っているのだろうか?それの何が幸運につながるのか、レイヴンにはやっぱり分からない。
「見つけてもらえたり、名を当ててもらえた人は、幸運の魔法をかける王子様のお気に入りってことなんだって。お気に入りたちにはその後良いことばっかりあったらしいよ」
「良いこと……」
「よかったじゃないか、レイヴン」
これでようやくつながり、レイヴンの頭はすっきりとする。そこではっとした。
「ジェラルド様、早速良いことがありました」
「ん?」
「すっきりしました」
一瞬きょとんとした主は、すぐに理解して笑った。
「噂通りだね。さて、あいつは認めてもらえたかな?」
「アルフォンス様ですか?」
「フィオン殿下に気に入られたら結婚式は絶対成功するだろうな」
春の日だまりみたいな、のんびりした笑顔を思い出し、アルフォンスを思い出す。
主の弟君には失礼だが、正直あの王子が気に入るとは思わない。
最初のコメントを投稿しよう!