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「では、ジェラルド様が成功させて下さい。私の幸運を差し上げます」
「ありがとう。どちらかが脱走しないように目を配らせておくよ」
茶化すように言って、再び笑い出す主の後ろにレイヴンはついて行った。教会の中は広く、まだ人が少しだけ騒がしかった。
そんな中でもこちらに気付いたらしいフィオンが手を精一杯振る。
主は手を振り返し、レイヴンは一礼した。
顔を上げるとまだ手を振っているフィオン。
もしかしたらあの王子は主のことも気に入ってるのかもしれない。
あと数分後には始まる両国の注目を浴びた結婚式。そこで、主がこの式を本当に成功させるなんて、まだ誰も知らない。
幸運の魔法をかけるフィオンは、にこにことして、大好きな姉の波乱の晴れ舞台をその目におさめた。
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