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端から見たらさぞや似合いの二人だろう。
青い瞳の美しい女郎と、後ろ姿を見ただけで、くらくらするのではないかというような色男。
しかし実際は違う。
女郎は鋭い視線で男を射抜いていた。男はそれに対し、余裕綽々というように流し目さえしてみせる。
「で?」
先に口を開いたのは女郎……イレーヌだった。
「ん?そう怖い顔するもんじゃねぇよ」
せっかくの顔が台無しだ、と言いながら甘く笑う。それにイレーヌは遠慮なく眉根を寄せた。
「わーってるよ。おまえのことは知ってる。ずっと見てたからな」
「世に言うストーカーでありんしたか、わかりんし」
「違ぇよ」
煙管をずいっとこちらへ向けられてイレーヌはこれまた遠慮なく鼻をふさいだ。
臭い。
「あんたとあんたの主見てたんだよ」
「やっぱりストーカー」
「いい加減そこから離れろ」
今度こそ言い切ったイレーヌに男は頭を抱える。
イレーヌは一つ、大きなため息をついた。この男は少なくともギルティではないだろう。しかし魔力を感じる。それなりの強さだ。
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