二人と雪とクリスマス

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二人と雪とクリスマス

12月24日。 深夜、0時30分。 僕は、着信音で目覚めた。 最後のヒント 「さけべ!!」 ・・・なんだよ、それ。 もう終わった。いやぁ、疲れた。 やっと楽に死ねる。 ようやく、死ねる。 自分で死んだら、地獄いきかぁ・・・ また産まれてきたいなぁ・・・ 目から雨が降ってきた。 「自分で死ぬの、こぇえ・・・!」 ヒントの紙が目の前にあった。 妙なことに気付いた。 どうして全部、最初の文字が平仮名なんだ。 納豆はなっ豆だし、 陸上はりく上だし・・・ 僕は最初の文字だけ、ぴっくあっぷしてかいた。 「と」 「な」 「り」 「に」 「い」 「る」 「よ」 「と」 「け」 「い」 「が」 「に」 「に」 「な」 「つ」 「た」 「ら」 「め」 「お」 「と」 「じ」 「て」 「さけべ!」 こんな感じ?やった、解けた。てか、そんな簡単なのなんできづかなかったんだよ!!? 少し恥ずかしい。 ともあれ、今1時40分。 もう少しで、生まれ変われる。 そう思うと、ドキドキしてきた。 カーテンをしめ忘れた窓に映る、白い雪。 夜の黒に、白い粒が。 あと30秒。 カウントダウン。 5、4、3、2、1・・・ 僕はゆっくり目を閉じた。 くらい瞼の向こうに人が見えた。女の子だ。 見つけたやつはゲーム終了といわなければだめなのか。 「さけべ!」 っていわれたらなぁ。 「ゲーム終了‼‼‼‼‼」 視界から、あのこが消えた。 ゆっくり目を開けると、 左が赤い目で右が蒼い目の少女がいた。 「おめでとう。やぁっと見つけたね。」 静かな声で、話す。 「あなたのお願いを聞く前に、私の願いを聞いて?」 まぁ、いいか。 「いいよ、なに?」 「私の事、忘れないで。一生。」 僕は困った。 「それは、無理だよ」 「どうして!?」 「僕の願いは生まれ変わること。だから今の一生のことは、全部忘れるんだ」 「そんな・・・このためだけに・・・命を、捨てたのに・・・」 彼女はなき崩れた。 僕はたちつくした。 なんて声を、かければいいんだろう。
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