そして彼女は花を刈る

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―――どうしてこんなとこに来たんだろう? どうして、誰もわかってくれないんだろう? どうして、誰も私を愛してくれないの? 私が産まれてすぐに、母さんがしんだそうだ。 父さんは、それから仕事すらせずに、酒を飲んでいたそうだ。 何をいってもむだ。 私が7つになった時、父さんはしんだ。 私はその時、悲しくなかった。涙すらでなかった。 私を育ててくれたのは、叔父さんだもの。 あなたは、私になにもしてくれなかったから。 いなくなっても、平気。 そしてその夜、叔父さんが事故で亡くなった。 悲しくて、泣きそうだったけど、堪えた。 この涙を流したら、私はからっぽになってしまう。そう思ったから。 14歳。中学二年。 私はそこで省かれた。 けなされた。罵られた。 全裸で半日、山に縛られ続けたりした。たまたま通りかかったお爺さんに救われた。 すぐに警察。事情聴取。 だれにやられた?って質問に、私なんて答えたと思う? 「自分でやりました。私、どMなんです」だって。 それから、学校にいかずに、働いたりした。私を知ってる人がいない、隣町で。 18歳、もうすぐ卒業、って時に、私は自殺をしようとした。未遂。 目を開けて、「ここは、地獄?」って看護士に聞いた。馬鹿みたい。 未来なんていらない。でも、自分のことを忘れないで欲しい。 そこで私は、ゲームを考えた。私探しのゲーム。欲しいものをあげるっていえば、みんなこぞって私を探す。 でも、一人でこのゲームを主催するには、どうしても、この体が邪魔臭い。 「これで、ぜんぶ終わって、私は・・・」 そして、私は花畑の真ん中で、鎌を使って、花と一緒に、自分の首を―――。
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