涼やかに流れる漆黒

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その日、エドワードはいつものように餌を求め彷徨い歩いていた 「・・・・腹が減った・・・・ もうこの辺りには華はいないのだろうか?」 いくら永遠に生き永らえる存在といえども、あの族は蜜を吸い尽 くしてしまえば水晶のような硬質なものに包まれ回復するまでは、 閉じこもってしまう、自分は会った事はないが人間はその美しいもの を持ち帰り愛でている。・・・・・・と聞いた事がある。 ここ最近は、人間に持っていかれては困るという我属が、華を 喰い散らし、その水晶を人間が持ち帰るという悪循環が続いている そして困った事に人間はそれを手放さない、よって本来は彼の属の 豊潤な甘い香りで包まれていた森も今では味気ない閑散とした森 になっている。 「このままでは我属も飢え死にだな。どの位の時間をこの飢えに 耐えれば死ねるのだろう」と微かに笑ったが 「華の匂いがする。水の匂い・・・混ざって清純な匂いだ」 エドワードは走りだした
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