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・・・アリスは走っていた
水を汲みに川辺へ向かい、まさに汲もうとしていた時足に痛みが走り
振り返ると人間と目があった。
「生きた華だ!こんなめずらしいもの売れば高値がつく!逃がすな!」
アリスは走った・・・元から体力がないのにここまで走ったのは奇跡
といえるが、足が縺れて拍子に長い髪が木にひっかかって立ち止まって
しまった。
その時
「やった!まだ僕は飢え死にはしなくてもいいらしい」
アリスが驚いて顔を上げると太陽に透けた茶色の髪が風に揺れふわり
と浮いた
一瞬驚いたが、すぐ諦めたような顔をしたアリスは
「私を貪るか?鬼が。」
と鬼を睨みつけた。
「え?ちょっと待って・・・・かわいい・・・・・」
「は?何を言っているんだ貴様は」
すると、アリスの背後から人間が何か喚きながら近づいてくるのが分かった。
「君、人間に追われてるの?」
本来鬼は、自分達を見つけると一目散に、その自慢の身体力で追いかけてきて
あっという間に捕まってしまうのでこんな展開は初めてだった。
「あぁ。見てわからないのか?」
とアリスが思わず答えると、鬼は
「今、助けたら君の名前教えてくれる?」
と言い、颯爽と人間達の方へ走って行ってしまった。
「私はまだ返事もしてないのだか・・・・」
ぼそりと呟くと、我に返りこの場から逃れる為に絡まった髪を解きはじめた。
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