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ゆいりは窓際を離れ、輸入家具で統一した二十畳のリビングルームに戻った。床暖房のきいたフローリングを裸足で歩いて隅のOAデスクに着き、エビアンのペットボトルをそこへ置いた。
レポートか、とつぶやくとミネラルウォーターを一口ふくみ、パソコンを起動させた。ダイバーに支給されたパソコンは、日本製のごく普通のパソコンだ。ウインドウズのデスクトップ画面が立ち上がる。
ダイバー専用の入力フォームに接続した。
遭遇した亜獣について……とタイトルをキーボードで打ち込み、そこで思案した。
それに対抗するためにチームを組む……?
パーティを組んでモンスターを倒しにいく? まるでロールプレイングゲームだ。
しかしゲームと違って、訓練をしなければ実戦では戦えまい。担当官はそこまで指示しなかった。勝手にせよ、ということか?
まともな準備なしで兵隊の頭数だけ増やしても、それだけで倒せる相手ではない――実際に対峙したゆいりはそう思う。
入力フォームに文書を打ち込み、推敲を重ねる。簡単に片づけるつもりが、気がつくと深夜になっていた。
インスタントで軽く食事を済ませると、たまっていた家事のことを考えながら床についた。
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