第2章『南港』

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 そう思って、なんとなく居心地の悪い空気を感じていると――。  ドアが開いて入ってきた三人目を見て、仰天した。  ゆいりよりもずっと華奢な少女だったのだ。しかも、さっきゆいりが屋上展望デッキで見た、あの少女だった。いくらなんでも信じられない。  少女は、カウンター前で戸惑う様子もなく、まっすぐにこちらへ歩みよってきた。空いているゆいりの隣の席に当たり前のようについた。 「三人そろったので、説明を始める」  担当官がロボットのようにしゃべりだした。 「ダイブの説明の前に、紹介しておこう」  互いを簡単に紹介した。  筋肉男は、紀崎豪(きざきごう)、二十四歳。  中学生ぐらいの少女は、神田れみる。十四歳。  そして、八坂ゆいり、二十八歳、である。
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