第2章『南港』

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 担当官は言を継ぐ。 「それと、今回は鍵を壊す必要はない。訓練のみである。報酬は鍵の破壊に成功したときほどではないが、危険が伴うため大きくは減額しない。そして、訓練が目的なので、ダイブ期間は最長の二十四時間である」 「二十四時間だと?」  紀崎がうめいた。 「二十四時間もいっしょにいなきゃならんのか?」 「それがなにか?」  担当官の態度に、なにを言っても無駄だと悟った紀崎は黙った。 「では日時を伝える。明後日、午前八時にここへ集合すること。質問はパソコンのフォームへ記述せよ。では、打ち合わせを始めよ」  担当官は席を立つ。なんともアバウトな担当官である。  残された三人は、まだ互いを知らない。そんななかで打ち合わせをやれと言われたわけである。
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