第2章『南港』

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「いいよ」  低く、つぶやくようにれみるは言った。  十四歳なら普通なら中学生だ。ダイバーに年齢制限はないが、中学生が簡単になれるものではない。家出なんて単純な思春期の衝動で流れてきたのとは違うだろう。むろん、最初のきっかけはそうだったかもしれないが、なにか、触れてはいけないような複雑な事情がありそうだった。 「わたしが出会った亜獣についてはもう聞いているだろうけど、それをやっつけるにはやっぱりいっせい攻撃しかないと思うの。れみるちゃんは普段どんな武器を使ってるの? ちなみにわたしはこれ」  ブルゾンの下につけたホルスターから電撃銃を抜いて、テーブルに置いた。  前回のダイブで失くしたものと同型の銃を新しく支給してもらっていた。  小さな雷を発生させ、目標にダメージを与える、オーパムの技術で作られた武器だった。莫大な電力を必要とするので、一度に使える回数には限りがあった。最大出力ならほんの十発も撃てば電池が完全に消耗する。
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