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生える草の向こうに、梅田高層ビル群が雨にけぶって目に映った。さっきまでいた場所だが、ゲートをくぐってしか行くことのできない場所――エリア・オーサカ。
寒さが感じられなくなってきたとき、迎えが現れた。上空を、雨を切りさく高速で、しかし静かに。ゆっくりと旋回したのち、すぐそばに着地したのはマイクロバスほどの大きさの飛行機械だった。
――やっと来たか。
うつ伏せの状態でも、その気配は十分わかった。オーパム。異星の知的生命……。
ドアが開き、二つの人影が彼女を無言で飛行機械へと運び込んだ。
音もなく上昇する飛行機械は、今は使われていない鉄橋の、さびかけたシルエットの向こうへと消えていった……。
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