一章

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紗羅は、今日もいつもどおりに学校へ行っていた。 今日も時雨と一緒にお昼ご飯を食べようとしていたら 「黒須!!黒須はいるか!?」 と担任の先生が顔を真っ青にして教室に駆け込んできた。 「先生、どうしたんですか?そんなに急いで」 と紗羅が言った。 「黒須、実はな……‥」 ――……… 「先生、そんな冗談止めてよ。」 時雨が苦笑いをしながら言う。 「~~~っ。うそ、嘘よ!」 目に涙を溜め込み叫ぶ紗羅。 「本当なんだ。ついさっき電話があった。」 先生も動揺を隠せずに言った。 「っ!紗羅、早く、早く行かないと!!」 時雨は急いで紗羅の荷物を渡し、泣いている紗羅の背中を押す。 「っ…うっ…‥ひっく…‥しぐれ、ありがと。」 時雨も泣きながら紗羅の背中に手を回し 「今は涙を拭いて。泣いてたら前が見えないよ?」 と優しく紗羅の頭を撫でた。 「時雨、ありがと。行ってくる。」 と言いながら荷物を持ち、涙を拭うと走って出ていった。 ――――--- 紗羅は肩で息をしながら病室で座っていた。 数分前、やっとのことで病院に着き、父と母が居る病室へと案内されていた。 そこへ医者が病室へ入り紗羅にこう告げた。
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