佐々木瑞希の話

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実のところ、愛の告白というものを私はしたことが無い。 初恋ってなぁに? おいしいの。 なんて、幼い私は両親に尋ねたらしい。 そうして奴が言うに、奴からの告白の返事もまた「それっておいしいの?」だったそうな。 残念ながら記憶には残っていない。 ただ総合するに、食い意地が張っているのは昔っからであることは窺える。 レンアイの四文字を体感することなく育ったこの16年。 体つきも女っぽくなり、時折おっさんからエロイ視線を頂くようになった。 電車では時々痴漢にあっては撃退し、周りでもハツタイケンなる話が横行するようになってきた。 共学の高校に通いながらも、いまだ遠い。 更にイケメンが多いといわれる学年に属しながらも、やはり遠い。
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