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「ああ。なんせ今回のは大泉隼人の孫だ」
……? 俺の正体がバレてる? まさか……
「ほぉ……これは、これは」
そう言って立ち上がった男は、俺の事を上から下から舐めるように見て、そして再びソファーに身を投げ出した。
「ボクが君の正体に気付かず、ここまで連れてきたとでも思ったかい?」
そう言うと女性は甲高い声で笑い始めた。
……嵌められた。これは場合によっては犯罪に巻き込まれた可能性がある。
身代金誘拐? 下手すりゃ今すぐにでも東京湾で重石を付けたまま海中遊泳なんて事も……
もしかしたらじいちゃんの作った法律に反対する連中なのかも知れない。
「ようこそ大泉大湖くん。俺がここのリーダーの善之だ」
男の手が伸びてきて、俺はとっさに目を閉じて身をかわした。
「なんだ? 今時のガキは握手の仕方も知らないのか?」
男の手にナイフみたいな凶器が握られていない事を確かめるように、そっと目を開ける。
「ほら。リーダーが握手を求めているんだから」
女性に急かされるように男の手を握る。
「す……すみません」
「なんだよ。殺されるとでも思ったのか?」
そう言いながら男が笑い始める。それにつられるように、中にいた全員が笑い始めた。
俺も僅かに口角を引き攣らせながら照れ笑いを浮かべる。
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