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東京都足立区。二十三区の中でもわりと下町に属するこの辺りは、国民免許制度に守られて潰されずに済んだ小さな町工場が河原に軒を連ねる。
俺はその前を通って、少し拓けた商店街の奥にある区役所を目指して歩いていた。
「バイト……かぁ……」
とは言え、バイトをするのにも当然、許可証が必要なわけで。
但し、一元化されているだけに、働き口がない、と言う事は絶対にない。
企業側も、その許可証を持っている人間を勝手な理由で拒否する事が許されていないからだ。
良し悪し。そう言ってしまえばその通りとも言える。
但し、企業側も明白な解雇理由を申請すれば、解雇許可証を発行する事ができる。うん。
実にややこしい世の中だ。
こんな世の中にしたのは誰でもない。俺のじいちゃんだ。
孫の俺がこんな事で悩む事なんて、果たして想像していたのだろうか。
俺の記憶の中にあるじいちゃんは、いつも笑顔だった。
今となってはそれが、政治家と云う仕事柄からくるものなのか、それとも孫と祖父と云う立場の関係上によるものなのか、はっきりとした事は解らない。でも。
これだけは言える。
今、俺は無性に腹が立っている。
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