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「………はは、君は…人間らしからぬ事を言うね。まるで自分に感情が無」
「黙れ」
リオレの喉仏に寸止めの突きを放った。
当たったら即死は必至だ。
「すまない……君も、感情的にならないように気を付けろ」
シュッ!!
仰向けの状態からの蹴りあげを俺が避けた隙をついて、リオレが消えた。
――そう、文字通り"消えた"のだ。
「………チッ、あの野郎……」
"P2・インプローバー"
正しくは"Potential Power Improver"だが、便宜上略されている。
プレスメチオの神経接続は基本的には着用時にしかされないが、それが長時間若しくは短期間に何度もなされると、脳とプレスメチオの"波長共鳴(シンクロ)"が起こる。
本来、プレスメチオは脳の反応速度と共に肉体的にも強化されるような作りになっている。
その為には一時的に脳に干渉する必要があるわけだが、原因は詳しく分かっていないが常時干渉状態になっているのがP2・インプローバーだ。
奴等は人間を、いや地球生命体をも凌駕した反応速度と肉体を持っている。本気を出せば一個師団など三秒も掛からず壊滅させられる。
つまり、俺はそんな危険な奴と戦っていたわけで。
「シグレ」
「何してくれてるんですか教官?」
ちょっとキレめに言う。
「まあ気にするな。それにすまなかった……彼にナイフと鉄板を仕込ませたのは俺だ」
俺は少し驚いたが、すぐにいつもの調子に戻る。
「なんでそんなことを?」
「これは試験だろう。様々な状況(シチュエーション)を想定した戦闘も必要かと思ってな」
教官は顎の髭を撫でつつ言う。
が、そんな教官をジト目で見て。
「面白半分だろ」
教官の頬にツウと汗が伝った。
「つかあれじゃ対テロリストじゃないっすか。色々と思い付きでやんないで貰えます?」
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