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「さ、参番小隊!!!!応答せよ!!!!」
真っ黒に焦げた大地。
参番小隊の隊長服に身を包んだ俺は、小型中距離通信機に思いきり怒鳴り付けていた。
最早使い物にならない旧式の銃を全て投げ捨て、たった今自身の小隊を撤退させたところだ。
塹壕の縁から目だけを出して敵の進行を確認する。
が、360°全てが火の海と化していた。
数十分前。
我々参番小隊が全線に到着した時、ここはまだ草が生えていた。
それは夢だったんじゃないかと、この状況を疑わずにはいられなかった。
最初に確認された"敵"の数は2個体だった。
戦闘は拾弍番小隊が到着して直ぐに開始されたが、その時俺は完全に奴等を嘗めていた。
『たった2個体なら、そう時間はかからないだろう』――――と。
時間がかからなかったのは俺達の方だった。
あっという間に拾弍~伍番小隊が壊滅、参番小隊も半分に減っていた。
俺は、隊員の命を最優先に考え、撤退させた。
その時だった。
俺の頭上を、退避する隊員達に向かって、"何か"が通り過ぎたのは。
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