657人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
午前9時を過ぎた頃、私の携帯がなった。主人の携帯番号が表示されていたので、ホッとして電話に出た。
「もしもし、〇〇 〇〇さんの奥さまでいらっしゃいますでしょうか?」
しかし、聞こえてきたのは主人の声では無くて、全く聞き覚えの無い中年女性の声だった。
「私は、京都の◎◎病院、救命救急看護師で◇◇と申します。実はご主人の〇〇さんが事故に遭われてこちらの病院に運ばれて来まして…」
思いがけない内容に私は一瞬で頭が真っ白になってしまった。
電話の向こうで私を呼ぶ声で我に返った。そして直ぐに思った。
『電話は病院からだ。警察からじゃない。なら、主人は生きてる!』
以前そんな事を主人から聞いていて、とっさに思い出した。
「奥さま、大丈夫ですか?取り敢えず、ご主人と代わりますね」
そう言って、主人と電話を代わってくれた。
「もしもし、のの?ごめんな…」
いつもの主人らしくない、頼りなげな声が聴こえた。
最初のコメントを投稿しよう!