197人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
いつまで男の胸の中で泣いていたのか。それすらも分からないくらい僕は声を上げて泣いていた。
男は僕を突き離すでもなく、受け入れるでもなく、ただじっとしていた。もしかしたら、僕のことは邪魔だけど、可哀想だから突き飛ばせないでいるのかもしれない。
「う……ううっ……」
僕は、いつまで泣いているのだろう。ずっとこうしていたら、何か暗いものが迫ってきた。飲み込まれたらダメだ。ダメなんだけど、気付けば僕はそれに全てをゆだねていた。
「……参ったな」
男のその声を聞き終えた頃には、僕は完全に眠りに落ちていた。
最初のコメントを投稿しよう!