鳥原

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無表情鉄仮面の鳥原といえども、俺の態度の変化に気付いていたようで。 その日の放課後、とうとう鳥原がキレた。 試験まで残り1週間となったため、部活動はない。 いつもだったら部活へ向かう鳥原は、そのまま教室に残っていた。 俺は眞柴と、中間試験が終わった週の休日に、外出許可をもらって買い物に行こうかと話していた。 眞柴は映画鑑賞、俺はヒーローコスプレの材料集め目的だ。 ところが眞柴が、事もあろうに、鳥原に声をかけやがった。 「試験明けの日曜、買い物行こうと思うんだけどさ、鳥原も、どう?」 俺との相談もなしに勝手に話を決めるなと、俺は眞柴を睨みつけた。 それを鳥原が見ていたらしい。 俺の近くに来ると、俺を見て、何を考えてるのか分からん表情のまま言った。 「言いたいことがあるなら、言ったらいいでしょ」 鳥原は、気付いていた。俺が鳥原を、苦手な……いや、最近ではそれを通り越して嫌いになっていることを。 ヒーローを志す者が、悪者でもない奴を嫌うなんてことはあってはならない。 俺はヒーロー失格の烙印を押されたような気分になった。 鳥原を遠ざけたかった。鳥原の目は、俺を裁く。 一方的に先生に嫌われて、どうすることも出来なくて閉じこもって、新潟から逃げた俺を、情けない俺の姿を暴く。 先生を許すなんて偉そうなことを言ったところで、俺は先生に嫌われた人間なんだ。
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