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「お前を仲間だなんて、俺は認めてない」
思わず口から出た。
鳥原の顔が硬直したのが、よく分かった。
無表情だからロボットのように感情の欠けた奴だと思っていたけど、そんなことはなかったらしい。
眞柴も言ってたっけ、鳥原の無表情の下には、熱い魂がなんとか、とか。
鳥原の目がじわりと潤んで、体も少し震えていたのが、怒りからなのか悲しみからなのか分からなかった。
「別に、認めてもらう必要なんかない」
抑揚のない声で、でもしっかりと、鳥原は言った。
その声は教室に静かに響いた。教官の怒声より、ずっと通り響いた。
教室に残っていた他の奴らも、しんとなった。
鳥原はそのまま踵を返すと、バッグを抱えて出て行った。
バッグのファスナーに鳥のキーホルダーがついているのが見えて、鳥原だから鳥なんだろうか、とか他人事のように頭の隅で考えた。
可哀相なのは眞柴だった。
「ごめん、長太郎、俺、そんなつもりじゃなくて、だって鳥原は、いや、でも、そんなんじゃなくて……」
と、自分が蒔いた種の酷い実りっぷりに、パニクってオロオロだった。
「うん、悪い、俺、言い過ぎた」
「僕に謝られても……。いや、僕こそゴメン、長太郎に相談もなしに……」
そんな感じで、我が心の友、魂の相棒(バディ)の眞柴とは仲直り出来たんだが、鳥原との仲直りは困難を極めた。
そもそも、仲違いをした者が元通りに仲良くなるのが仲直りであって、鳥原とは仲違いをするほど仲が良かったわけじゃあない。
俺は困った。本当に困った。
プレゼント作戦なんてものを考えたが、鳥原の好みが分からない。
眞柴に聞いたが、鳥原の好きな漫画とキャラクターしか分からないとか言いやがる。
あと、カラスの実物も好きらしい。
カラスって。
カラスの写真集とか通販であるのか?
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