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メールの本文が、確かな声となって真帆の胸に刺さった。歪んだ微笑まで添えて。メールを見た瞬間には、胸に確かな衝撃を感じさえした。……怖い。
突きつけられたのだ。罪を。今になって。
怖い。
誰が? どうして?
怖い……。
怖い。怖い。怖い――――
「――真帆!」
名前を呼ばれた瞬間、真帆は竦み上がった。瞳孔は恐怖に見開かれ、体は小刻みに震えていた。
「大丈夫? どうしたのあんた!」
握られた手を思わず振りほどいた。
「あ……」
やっと光に目が慣れてきた。それまで真っ暗闇の中にいたことにさえ気づかなかった。
いつの間にか窓の外は暗くなっている。目の前にいたのは、驚いた顔の亜紀だった。
「ごめ……。今何時?」
「八時過ぎ。そんなことより真帆、どうしたの? 大丈夫なの?」
「あー、うん。なんか、怖い夢見てた、みたい。亜紀、遅かったね。部活?」
「え、あ……うん。そのあと吹奏楽部でテストおつかれさま会してたから」
「そっか。あー、晩御飯食べてない。なんか、疲れて寝ちゃってた。ラーメンでもつくろっと。亜紀もいる?」
「え、いや、いい。あ、やっぱいる。てか真帆、なんか妙に饒舌だね。ほんとなんかあった? 大丈夫?」
「……うん」
真帆は無言でインスタント麺を調理した。亜紀はそんな真帆の背中を、テレビを見ながら心配そうにちらちらと見ていた。
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