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六限目が終わると、ぽつり、ぽつりと雨が降り出した。
雨か、と思ううちにそれは本格的に降り始め、校舎の中と外の世界は雨によって遮断されたように感じた。
メールが届いた。
〈コンピュータ部の部室に行け。〉
昨日届いたメールのアドレスと同じだった。真帆はタブレット端末を操作して、タイマーをセットした。
部室には結衣がいて、一人で漫画を読んでいた。
「あ、真帆ちゃん先輩。おつかれっス」
かわいらしく敬礼してみせる結衣に、うん、と頷いていつものパソコンの前に座る。
それと同時にまたメールが届いた。
〈セキュリティシステムを停止させろ〉
「できない」
「え? 真帆ちゃん先輩、何か言いました?」
きょとんとした目を向ける結衣を、真帆は真っ直ぐ見つめた。
「できないよ、結衣」
「えっとー、何がですか?」
頬に指を当てて不思議そうに頭を傾ける結衣。真帆はすっと鋭く息を吸った。
「もういいよ。結衣の銃が今どこにあるのかもわかってる。わかってるんだよ――――舞原結衣」
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