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真帆は心の中でカウントを始めた。
10、9――。
「結衣、ちゃんと顔あげてまわりを見て。今は、そんなに悪くないはず」
5、4――。
「もーいいや、面倒くさいし。これで全部終わり。先輩も、結衣も……」
結衣は真帆と見つめあったままゆっくりと引き金を――。
0。
その瞬間、真帆のタブレット端末がアラームを鳴らすのと同時に、天井のスプリンクラーから大量の水が噴き出した。
「な、なに?」
驚いた結衣の注意が一瞬真帆から逸れる。その隙に真帆は結衣の後ろに回り、隠し持っていた銃をその背中に突きつけた。
びしょ濡れになりながら結衣は壊れたように笑った。
「こんなことしたらおおごとになっちゃうじゃん。先生が来て先輩の勝ち、ですね」
「来ないよ。同時作動の警報は切ってあるし、職員室に連絡もいかない」
「ふーん。先輩はセキュリティ管理者様ですもんね」
「銃を捨てて」
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