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糸状の雨が窓の外をすらすらと通り過ぎていく。
両親に似て色素の薄いくせっ毛の髪が、今日は湿気でペタリとねている。六月に入り、そろそろ梅雨の季節なんだな、と遠藤真帆は机に頬杖をついてぼんやりと思った。
そういえば今日は傘を持ってきていない。寮までそう遠くないし、まあいいか、と視線をパソコンのディスプレイに戻す。と、ディスプレイの上から顔を出し、ふくれっ面が睨んでいた。
「なに?」
真帆は驚いてややのけ反りながら、かわいらしく頬を膨らませる少女を見上げた。
「もー、真帆ちゃん先輩全然聞いてなかったんですかぁ? そのイケメン転入生さんの話ですよ!」
人差し指を立てて詰め寄ってくるのは、一年生の篠原結衣だ。同じコンピュータ部の後輩である。
小顔を強調するようなショートカットがよく似合い、いたずらっ子のようによく動く大きな黒目が可愛らしい。
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