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昼休み、取り囲まれて質問攻めに合う、という転校生の洗礼を受けながらも、舞原はその優しげな笑みを絶やさなかった。
気さくな性格なようで、男子たちともすでに意気投合しつつある。
弁当を食べながら、真帆はそんな舞原をさりげなく見ていた。
「へー、真帆も気になるんだ」
からかう様な声に前を向くと、寮でルームメイトである鳥原亜紀が弁当を持ってにやにやしていた。
真帆はむっとしながらもヘッドフォンを外す。
「別に」
「あ、照れてる?」
「照れてない」
「もー、素直じゃない子!」
それはおまえだろ、と思いながら前の席に腰を下ろした亜紀を睨むが、本人は気にする様子もなく弁当を広げている。
今でこそみんな素直じゃない亜紀の性格をわかってくれているが、入学当初は礼も返さない嫌な奴、として周囲から少し浮いている時期もあった。
といっても、ここ東都防衛学院には変な連中が多く、周囲から浮いている奴はそこら中にいるのだが。
そしてマイペースを貫く真帆もそんな一員でもあり、同じく一人ぼっちだった亜紀とは行動をともにすることが多かった。
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