第一巻 不意にありくべからず

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―方 とある敷地内にて―― 「何とかならないのですか?」 女性が男性に尋ねる。 「ふむ。 神頼みをしてみましょうぞ」 男性は立ち上がる。 「神頼み?」 女性は不思議そうに首を傾げる。 「手のかかる奴だ」 男は右手に持った扇を 左手に当てる。 「はぁ」 女性は不安を持ちながら 男性についていった。 「大丈夫なのですか、晴明様?」 女性が男性― 晴明に尋ねる。 「上手くいくかはわしにも分からぬ。それは奴次第だ」 「奴?」 女性の問いかけに晴明は ゆっくり答える。 「神様だ。」
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