病室

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どうして、こんな事になったんだろう…… 少年は無機質な白い壁に囲まれたベッドの上で、後悔の念とすらも自覚出来ぬまま、頭の中で同じ言葉を繰り返していた。 僅かに開けられた窓から入り込む生暖かい風が、市役所から流れる夕焼けの曲を病室内に運び込む。 「もう……5時か……」 昼過ぎにこの病院に搬送され、おそらく手術を受け、麻酔から覚めたのが一時間程前になるだろうか。 少し前までこのベッドの傍らで、少年の母親が医師の説明を受けていた。 「両目とも、眼球を摘出という処置になりました。残念ですが……」 低く、静かに発せられた言葉に母親の息を飲む音が重なる。 「それは……失明……という事ですか……」 無理に抑えた質問とも呟きともとれる母親の震える声に、医師は再び「残念ですが……」という言葉で答えた。 おそらく、少年が寝たふりをしていなければ、これ程間近で成される会話ではないであろう。
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