退屈な世界

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人里から少し離れたところに、一軒の建物が建っている。 それは和風建築の建物。 そこは、雑貨屋”鴉”。 店主の男性と居候の女性が、ひっそりと営業している。 しかし、ここは雑貨屋としてだけではなく、依頼さえすればそれを解決してくれる万屋でもある。 本日もいつも通り開店する。 「だーかーらー!!!!!!」 両手を卓袱台に叩きつけ、言葉を発する女性。 腰までのばした黒髪にどこかの学校の制服のような服装をしている。 そして、腕には腕輪が着けられている。 何かに怒っているようだ。 「五月蠅い、卓袱台が壊れたらどうするつもりだ。ただでさえ経営が辛いのに。卓袱台壊れたらハルカが自分で買えよ。俺は出さねぇぞ。一銭たりともな。覚えとけよ?」 それに対して、間違いなく論点ではないところに対して反応する黒服の男性。 こちらも黒髪で目にかかるかどうかくらいの長さで、全身黒尽くめ。 そんな二人が言い合いをしている。 ハルカ「・・・そんなことよりもこれはどういうことよ!」 一度、持っていた紙を卓袱台に叩きつけようとしてやめる。 そして、男性・・・ルークの前に突き出す。 その紙には、この店のある場所を国で買い取りたいため、早急に店を畳んではくれないかと言った内容のことが書かれている。 店を畳めば、国が金銭を払うようでその金額も書かれている。 それに対して、ハルカは怒っていたようだ。 ハルカ「店主であるあんたが知らないわけないでしょう!?」 怒り剥き出しで問い詰めるハルカ。 今にも掴み掛りそうな勢いだ。 ルーク「俺だってついさっき知ったんだよ。それが家の前に置いてあってな。」 うんざりといった顔で言う。 その手にはペンを持っており、発言しながらも何かのノートとにらみ合い、何かを考えているようだ。 そこには、現在この店でかかっている経費が書かれており、その横には数式が疎らに書かれている。 何かを計算し、溜息をつき、また計算する。 これの繰り返しのようだ。 ハルカ「で、どうするの?」 店を手放すの?と要点を聞こうとする。 ハルカの顔には不安が滲み出ている。 ルーク「手放すわけないだろ。ここも動かないしな。」 簡単に言ってのけるルーク。 しかし、その顔にも不安が漂っている。 ハルカ「手は?」 ルーク「ない。」
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