退屈凌ぎの仕事

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「あの、これは持って行ってもよいのでしょうか?これは、あの人が読んでいた本なのでは・・・?」 女性は、ハルカが寝ている場所にあったことから読んでいた本だと思ったのだろう。 誰だって、寝ている場所にあった本を渡されたらそう思うだろう。 ルーク「本人が渡したんですからいいんでしょう。前にもあったことなので気にしないで持って行ってください。返却もしないでよろしいので。」 彼は、相変わらずの営業スマイルで言った。 そして再度女性に帰るように促す。 女性は、その言葉に素直に従い、店に入った時の戸に戻る。 ルークはそれに着いて行き、女性が店を出るときに、またのお越しをお待ちしていますと言い、女性を見送る。 そして彼は、先ほどの部屋に戻る。 そこにはもちろん、ハルカが毛布を被っている姿がある。 ルーク「ハルカ、あれはどういう魔術書なんだ?」 彼は、さっきまでとは違い敬語ではなくなっている。 お客の前では、敬語でという当たり前のことをしていただけのようだ。 部屋の隅の毛布がもぞもぞっと動く。 そしてハルカが、毛布からひょっこりと顔を出す。 ハルカ「化けの皮が剥がれたわね。」 ハルカがニヤニヤしながら言う。 ルーク「んなことどうでもいいから、あのホノリウスだっけか?あの魔術書に書かれている内容は、どんなのなんだ?」 心底どうでもいいという顔で、ハルカに再度質問を投げかける。 ハルカ「んー?確か天使とかを司ることとか多岐多様なことが書いてあったかな。魂自体に命令を強制的に聞かせることとかね。ただ手順が面倒くさいったらありゃしないのよ。あの本にも呆れるくらいに長ったらしく書いてあるしね。それを見て、読む気失せたのよ。」 うんざりといった顔で言った。 それを見たルークは納得したようで、なるほどと言い、 事務仕事を始める。 それを見たハルカは、毛布を被り寝始める。 部屋に静寂が訪れる。 そこには、規則正しい寝息と何かを書く音だけが響く。 さっきまでとは、全く違う光景だ。 しかし、これがここの普通。日常。 ・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・ ・・ 平穏は、いつまでも続かず、唐突にそして自然に時の流れのように、全ては動き始める。
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