9.帰りのバスで・・

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「いつも、否定しないんだよ! 口答えくらい・・ したら・・ どうなんだよ!!」 「だって・・・ 僕・・・ 皆と仲良くしたいから・・・ 君とも・・ 喧嘩したくないんだ・・」 「タクム君・・」 沙希ちゃんが拓夢君を見つめる・・ いつも優しい拓夢君・・誰とでも仲良くしたいって言う答えに、心を打たれたようだ・・ 「ふん! そうやって、良い子になろうとしてるのが、気に入らないんだよ!!」 「サトシ君!!」 沙希ちゃんが怒ろうとして、とっさにサトシ君を睨んだ・・ その時・・ サトシ君の目が赤くなっているのに気づく・・・ 「え?・・・」 「俺には・・・ あの時・・・ 山の中で、遭難しそうになった時・・・ 皆を、導くことができなかった・・・ お前は・・・ 違った・・・ ちゃんと、皆を、麓まで・・」 「あれは、あやめちゃんの助けがあったからだよ」 「いや・・・ あれは、 お前が、最後まであきらめないで、 皆を、助けようとしたから・・・ 俺は、 諦めてしまった・・ 何もできなくて・・・ 投げ出してしまった・・」 サトシ君の目に涙が溢れる・・ 「あれしか、方法を思いつかなかったから・・」 「ごめん・・・」 「え?」 「迷惑かけてたのは、俺だった・・ ごめん・・・ それから・・・   ありがとう!」 そう行って、笑みを浮かべて、くるっと向きを変え、向こうへと小走りに去って行った・・ サトシ君を見送る拓夢君と沙希ちゃん・・ 「サトシ君・・・」
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