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2.ご褒美
朝食で・・・
9月も終わりに近づき、あと少しで引っ越しも完了といったところ・・
もう殆ど先生のマンションに荷物を運びこんでいて、市営住宅の掃除をすればいい位まで進んでいた。
僕が起きて部屋を出て、食堂に向かう。
「おはよう」
「おはよう。ヒロシ君!」
キッチンで振り向いている先生。そのまま料理を続ける。
「おはようヒロシ・・」
机で新聞を広げて読んでいる父の姿。
先生のマンションでの生活も大分慣れてきている。
「ふふ・・」
「どうした?」
父が不思議そうに僕に尋ねる。
「いや・・・何だか・・普通の生活に、なったのかなって・・・」
「ふーん・・・じゃあ俺も普通の事でも言おうか・・?」
「???」
何だろう?
「勉強は進んでいるのか?」
「あ・・」
父親が、子供を見た時の第一声は、「勉強」の事だろうか?
「どうなんだい?静江さん?」
「え?」
僕に聞いてるんじゃないんだ・・・
「う~ん・・1学期の期末試験は~」
先生が答える。
「大分、上がったみたいね~!」
笑みになってる先生。
「ヒロシも図書館に通ってずっと勉強を頑張ってたからな!」
「夏休みはデートも、そっちのけで勉強してたもんね~」
そうだった・・彼女とはデートらしきものも殆どしていなかった・・・
「それじゃ~ご褒美をあげなきゃな・・・」
お父さんが珍しく僕にプレゼントでもくれるというのだろうか??
「じゃーん!」
何かのチケットが2枚・・先生の手から見える。
「今度のピアノコンクールの招待券で~す」
ピアノ・・・そういえば、毎年、先生が出ているピアノのコンクールがこの時期、開催されるのだ。
いつも公会堂の定員一杯になるので、なかなか手に入らないチケットだ。
「彼女と一緒に、今度の日曜日にデートでもすれば??」
「引っ越しで忙しい毎日だったからな・・」
「その後は、私と直人さんで食事に行くので、こっちもご褒美なのデース」
うきうきしている先生・・
そういう事ですか・・・・
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