2.ご褒美

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学校で・・・ 休み時間に彼女の教室へ向かう・・ 何だか、改まってデートを申し込むのは、少し恥ずかしい・・ 「あの・・望月さん居ますか?」 「あ・・ヒロシくんね!ちょっと待ってて!!」 扉の近くにいた女子が大声で彼女を呼んだ。 「望月さ~ん!ダンナが呼んでるよ~!」 きゃーきゃー騒ぎ出す教室。 旦那じゃないんだけどな・・・こういう展開って・・恥ずかしい。 クラスの女子達にはやし立てられ、赤い顔をして彼女が出てくる。 眼鏡を掛けてポニーテール姿の彼女・・ 「ヒロシくん。おはよう!」 「おはよう・・」 「どうしたの?珍しいね!」 「うん・・  今度の・・  日曜日  だけどさ・・・」 いつも音楽室で会っていて、話すことは慣れているはずなのに・・ は・・ 恥ずかしい・・ 女の子にデートを申し込むのって、こんなに勇気のいる事だったのか・・? 「日曜日?」 「よかったら・・・」 僕は心臓がバクバク言って、顔が赤くなっているのが自分でもわかった・・汗が出ている。 彼女も、同じらしい・・うつむいて、赤くなっている。 「ピアノの『コンサート』でも・・  行かない?  一緒に・・・」 「コンサート?」 チケットを見せる僕。 「あ・・これ、先生の『コンクール』じゃない!」 『コンクール』と『コンサート』を間違ってしまった・・動揺している僕。 「あ・・コンクールね・・!」 訂正する・・焦る僕・・・ 「うん!行くよ!  行く。行く!  絶対行く!」 「絶対」までつけるほど、張り切る事なのだろうか・・・ 嬉しそうな彼女・・ 僕も、チケットを渡して・・・嬉しさを隠し切れなかった。 「じゃあ・・今度の日曜ね!」 「うん!楽しみにしてるね!」 にこにこ顔の彼女・・ いつも会ってるんだけど・・ちょっと違った。 針の山ってこういう事をいうのかな・・ それをこなした達成感を、教室に戻る廊下で噛み締めた。   やった! 思わず、握りこぶしに力を入れる。 今度の日曜日が待ちきれない!
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