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「今、念を飛ばす訓練してるんだ!
鬼教官が話す相手を見つけて来いって言ったから、
真っ先に、お兄ちゃんと話そうと思ったの」
「そうか・・・ここにいるんだ・・」
「うん。目の前に居るよ!」
霊感ケータイのスイッチを入れ、カメラを作動させる。
携帯電話の画面を見ながら、カメラのレンズを向けると、画面に翔子ちゃんの姿が映っている。
「久しぶりだね!」
「うん!この間も、ちょっと寄ったんだ!」
「メールが入ってたよ。」
「返信ありがとう。嬉しかった!」
くじけそうになったら、いつでも来ていいって書いておいた。だから来たのかな・・?
念波で会話ができるようになったら、もうメールも通話も必要がないのだろうか・・
嬉しそうな翔子ちゃんの表情・・僕も嬉しい。
「それで、訓練を兼ねて、しばらく付き合って欲しいんだけど・・」
しばらく・・・
明日は「彼女」とのデートだと言うのに、翔子ちゃん同伴だったら怒るだろうな~・・
「明日は・・ちょっと・・・」
「ちょっと、って・・なに~?」
「あはは・・・」
笑ってごまかそうとしたが・・
「私、地獄で大変な目に合ったんだよ!
慰めて欲しいって思って来たの・・・
『くじけそうになったら、いつでも来て』ってメールに書いてあったじゃない!」
そ・・そうだった・・・・
「あれは嘘だったの?~~」
カメラ越しに近づいてくる眉をしかめた翔子ちゃんの顔・・
・・・カワイイ・・・
あ・・この期に及んで何を考えているんだ?僕は・・・・
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