第一話『復讐自殺』序文

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 あれ? ひょっとして理解されてない?  なんで私が復讐したいのかまるで理解されてない?  そいつはちょっといけないなぁ。  普段愛想良くて、人畜無害そうで優しくて可愛い私だけど、これでもストレスくらい抱えてるんだよ。  だいたい、面倒見が良い私だけど、そもそも面倒とか見たくないに決まってんじゃん!  勉強もしたくないし、つまらないヤツの話にいちいち頷いていたくないワケよ。  マジこいつウゼーとか思いながら、うじうじしてる娘を励ましたりとかしたくないワケよ。  お前一生塞ぎ込んでろよ! とか言いたいワケよ。  でも、それは出来ない。  だってそんなことしたらどうなるか、私には容易に想像できるから。  「お前にはこの子の気持ちが分からないのか!」とか「どうしてそんな酷いこと出来るの」とか言われるのは明白だからだ。  そんなことをすれば私は異物だ。邪魔な物でしかない。者ではなく物になる。  私はそんなヘマはしない。  人に合わせられる有能な人材だ。
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