第一風

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今日も穏やかに風が吹き八坂神社に活気を運んでくる 「早苗さーん」 早苗が境内の掃除をしていると神社の中からエプロンを身に付けた少年が出てきた 「お茶入りましたよー」 少年の名前は 菓祇月 綾 (カギツキ リョウ) 外界から来た人間らしい 行く当てがなく、とある理由から外界に帰れなくなり八坂神社で絶賛居候中なのだ 「わかりました、ここの掃除が終わり次第行きますね」 早苗は笑顔で綾に笑いかける 早苗は綾を気に入っていたし また綾も早苗を尊敬していた 「神奈子様と諏訪子様は?」 早苗は箒で砂を払いながら綾に聞いた 「お二方なら、霊夢様と人里に買い物に行きましたよ?」 と綾は答える 先程、博麗 霊夢が訪問して来て神奈子様と諏訪子を買い物に誘って連れて行ってしまった 「………ふーん」 綾には背を向けて箒を使っているが早苗の顔はとんでもない程ニヤニヤしていた (神奈子様と諏訪子様が居ないならもうやりたい放題じゃないですかッ……!!) 「……あ、あのう早苗さん?」 綾は早苗の様子に少し戸惑っている (…………つまりは今日がチャンス) 早苗は悪人が計画を企てる時の顔をしていた もうこの顔は巫女がする顔じゃない 「早苗さん、大丈夫ですか?」 早苗が悪巧みしている間に綾は早苗の近くに立っていた 「ふぇっ!?」 早苗はビクッと驚き箒を落としてしまう 「ちょっとだけ様子がおかしいと思ったんで声をかけたんですよ」 綾は早苗が落とした箒を拾い笑いかける 「疲れてたりしたらすぐに言って下さいね、力になりますから」 「ありがとうございます」 と早苗は笑って返事をした ……が (あぁもういい人だなぁ、そんな事言っちゃうとわざと倒れちゃったりしちゃいますよっ!?) …………この巫女、綾を深く好いていすぎる 綾は早苗に笑顔を向けたまま 「じゃあ、僕は先にお茶の準備してますね」 と言い神社の中へ戻って行った 「……………ふぅ」 早苗は箒を持つ手に力を入れ 「あぁもう本当に、かわいい人だなぁっ!」 とニヤニヤしながら砂塵が舞う位早く掃いてしまった
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