おろし婆

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この国、土佐国は南国である。 故に滅多に雪が降るほどの寒波は来ない。 だからこそ裕福な者たちはこうして夜通し飲み明かすことができるのである。 比べて川沿い、堤の上を歩くお馬にしてみれば、耳障りな声に他ならない。 「何で私ばっかりが」 1人夜の道を歩きながらお馬はぼやく。 朱色の着物に唯一の防寒具である白い肩掛けを頭から被り、帯をきつく締めた腹は、少し張っているかの様に見える。
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