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お馬は、農家の出だった。
米も食えない小作人の家で、子供ばかりがやたらめたらと多い粗末な小屋がお馬の実家であった。
末子のお馬に生理が始まると、親は待ってましたとばかりに彼女を奉公に出した。
奉公と言えば体裁が良いが、お馬がなったのは遊女である。
遊女にも二通りある。
一方があの船の上で酒を飲んで陽気に歌う幼い頃から芸や礼儀を仕込まれた者たちである、もう一方は、男の夜の相手である。
つまり芸を仕込める余裕のある育ちの遊女と、生理くらいしか仕込めない貧しい家の遊女に分かれるのである。
お馬はもちろん後者だった。
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