第一章 追憶の香り

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 今年の春からごく普通の大学生になった美月綾は、 なんとなく勉強して、特に将来の目的があるわけでもなく、 漠然と平凡な毎日を過ごしていた―――。 「美月さん…す、好きなんです! 僕と付き合ってくれませんか?」 「え?」    講義も終わって帰宅しようとしていると、 入学当時から何かと話しかけてくる湯浅誠司に呼び止められた。 人目を憚らずいきなりの告白に、 綾は戸惑いつつもどこか冷めた表情を浮かべていた。
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