314人が本棚に入れています
本棚に追加
恋愛の話し、学校の話し、バイトの話し―――。
胸につかえたものを抱えながらも、
年頃の女の子がするような会話に綾は満足していた。
そんな話を心置きなく話せる友人もいて、今が楽しければいい、
十分に充実した毎日を過ごしている。
と、綾はそう思っていた。
『でもきっと、そんな生活にも多少刺激が欲しい…って心のどこかで思ってるんだろうな』
自分の中の矛盾に、今考えても無駄だと言い聞かせて、
思い浮かぶ余計な考え事を霧散させた。
その時―――。
「おい! お前! 待て!」
「!」
ちょうど自宅アパート近くの角を曲がった時、
背後から呼び止めるように声をかけられた。
始めは誰に言っているのかわからなかったが、
自分の周りに誰もいないとわかると、
呼び止める声は自分に向けられたものだと綾は思い足を止めた。
「あなたは、昼間の―――」
「あと三秒…三、二、一」
ガシャン!!
派手な音を立てて、綾の目の前に植木鉢が無残にも粉々に散乱していた。
最初のコメントを投稿しよう!