第二章 彼の名は…

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恋愛の話し、学校の話し、バイトの話し―――。   胸につかえたものを抱えながらも、 年頃の女の子がするような会話に綾は満足していた。 そんな話を心置きなく話せる友人もいて、今が楽しければいい、 十分に充実した毎日を過ごしている。 と、綾はそう思っていた。 『でもきっと、そんな生活にも多少刺激が欲しい…って心のどこかで思ってるんだろうな』  自分の中の矛盾に、今考えても無駄だと言い聞かせて、 思い浮かぶ余計な考え事を霧散させた。 その時―――。 「おい! お前! 待て!」 「!」  ちょうど自宅アパート近くの角を曲がった時、 背後から呼び止めるように声をかけられた。 始めは誰に言っているのかわからなかったが、 自分の周りに誰もいないとわかると、 呼び止める声は自分に向けられたものだと綾は思い足を止めた。 「あなたは、昼間の―――」 「あと三秒…三、二、一」  ガシャン!!  派手な音を立てて、綾の目の前に植木鉢が無残にも粉々に散乱していた。
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