第二章 彼の名は…

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(あたし! 大きなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!) (え? 本当? 嬉しいな、大きくなるには綾が嫌いなニンジンも、ちゃんと食べないとね) (うん! あや、頑張る! だからお兄ちゃんのお名前教えて?) (―――だよ…) 「ん……ゆ、め?」 『まただ…』  疲れていたりすると必ず見る夢。 幼少の頃の自分と、光で顔が見えない少年と交わす会話はいつも決まっていた。 思い出そうとすると思い出せなくなる。 『夜中の二時か…変な時間に目が覚めちゃったな』  初夏だというのに、夜はかなり冷え込む。  綾はガウンを羽織り、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出した。  一気に水を煽り、豪快に喉を鳴らすと、 かなり喉が渇いていたと言う事に気づく。  ベッドサイドにペットボトルを置いて、 綾はもう一度さっきの夢の内容を反芻してみた。 『あの男の子は一体誰なんだろう……』  布団をもう一度かぶり直して、 考えを巡らせているうちに、 綾はもう一度眠りの淵に落ちていった。
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