第三章 疑惑の男

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「よう」 「あの、ここで何してるんですか?」 「別に、俺がたまにはケーキでも食おうかなぁってのがいけないこと?」 「そ、そんなんじゃ…ないですけど」  綾は先日の植木鉢の件で、今度会ったらお礼を言おうと思っていたが、 出会い頭にいきなり打瀬に辛辣な態度を取られ、綾は口ごもってしまった。 「あの男、誰?」 「あの男? ニ階堂先輩の事?」 「先輩…ねぇ」  打瀬が何を言いたいのか、綾には皆目見当もつかなかった。 ただ機嫌が悪そう…ということだけはわかった。 「あの男には気をつけな」 「え? どういうこと?」 「……さぁね」  一瞬、打瀬は困惑したように綾から視線を外したかと思うと、 再び傲慢な態度に戻った。 「あぁ、あの男の小説…全然ダメ、今年のマニアック新人賞も落選だから」 「な…何で、そんなことわかるの?」 「うーん、俺だから?」 『この人…意味がわからない…』
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